コラム

【麻(ヘンプ)の服の洗濯方法】おうちで洗えるシンプルな手順

By 2021年4月19日5月 21st, 2021No Comments

「麻は洗うのがたいへんそう」

「すぐシワシワになるから、日常的に着るにはハードルが高い」

「やっぱりクリーニングに出さなきゃダメ?」

そんな声をよく聞きます。

でも実は、麻の洗濯方法は、シンプルな手順があるだけ。

365日、麻を着ている「麻の専門ブランド・忠兵衛」のスタッフは、シャツやパンツをじゃんじゃん洗って、サクサク着こなしています。

スーツなどのカチッとした仕立てのものや、麻だけでなく他の繊維と混合されているものなどで、洗濯表示にドライクリーニングが指定されている場合以外でしたら、おうちで洗ってOKです。

麻の性質にあった洗濯方法を知って、ヘンプを毎日の暮らしに軽やかに取り入れましょう。

 

麻(ヘンプ)を洗う前に

はじめて洗濯するときは単独で

お買い上げ後、はじめて麻を洗うときは、ほかのものとは一緒にせずに、単独で洗いましょう。

麻は化学繊維に比べ、繊維組織が大きいため色落ちに注意が必要です。

色が落ちて、ほかのものに色が移る心配があります。

とくに天然染料を用いたものは、色が落ちやすい性質があります。

キナリの生地であっても、天然成分の色が落ちることがあるので、真っ白な生地と一緒に洗うのは、色味が落ち着くまで待つのが賢明です。

まずは単独で洗って、水に色がつかなくなるまで、はじめの2〜3回は様子を見ながら洗いましょう。

 

麻(ヘンプ)の洗い方

できれば手洗いで、洗濯機ならドライモードで

いちばんのオススメは手洗いです。

とはいえ毎日となるとめんどう、、、という方は、洗濯機のドライモードで。

麻は摩擦に弱く、表面が毛羽立ったり、白っぽくなったりすることがあります。

「はじめはやわらかかったのに、だんだんチクチク感じる」

それは洗濯による毛羽立ちのせいかもしれません。

擦れることを減らすには、手洗いで押し洗いがいちばん。

もしくは、ネットに入れて洗濯機のドライモードで。

天然繊維の衣類がお好きな方には、洗剤を使わない派も多いですが、洗剤を使う派の方や、汚れが気になって洗剤を使いたいときは中性洗剤を使ってください。

それでは、手洗いと洗濯機のそれぞれの洗濯方法をみていきましょう。

麻(ヘンプ)を手洗いする

1.洗面器に水かぬるま湯をはる

麻は高温のお湯につけると縮みやすくなります。

30℃以下の水かぬるま湯を使いましょう。

洗剤を入れるなら、このタイミングで。

中性洗剤を水の分量に合わせて入れて、よくかき混ぜてください。

2.麻の服を裏返して入れる

肌に直接触れている服の裏側に、皮脂汚れや汗がついています。

裏返すことで、汚れが落ちやすくなります。

3.やさしく押し洗いする

手のひらで押したり、離したりを20〜30回繰り返します。

こすったり、もんだりすると、生地が傷む原因になるので避けましょう。

汚れが気になる部分があれば、そこだけつまんで洗います。

4.ていねいにすすぐ

洗面器の中の水を取り替えて、麻の服をすすぎます。

水が汚れたら取り替えて、洗剤や水の汚れがなくなるまで、しっかりすすぎましょう。

洗剤が残っているとキバミの原因になるので、注意が必要です。

麻(ヘンプ)を洗濯機で洗う

1.麻の服を裏返してネットに入れる

洗濯中に生地がからまって摩擦を生むのを防ぐために、たたんでネットに入れます。

また、服の裏側は肌に直接触れているため、皮脂汚れや汗がついています。

裏返して洗うと汚れ落ちに効果的です。

2.「ドライモード」や「手洗いモード」に設定

麻は摩擦によって毛羽立ったり、シワになりやすくなったりします。

お手持ちの洗濯機の、いちばんやさしいモード=「ドライモード」や「手洗いモード」で洗いましょう。

3.水かぬるま湯で洗濯機を回す

麻は高温のお湯につけると縮みやすくなります。

30℃以下の水かぬるま湯で洗いましょう。

洗剤を使う場合は、色落ちを防ぐために、漂白剤や蛍光剤の入っていない、おしゃれ着用の中性洗剤を使います。

 

以上、手洗いと洗濯機のそれぞれの洗濯方法をみてきました。

手洗いでも、洗濯機でも、繊維を傷めないようにやさしく洗うのがポイントでしたね。

では次に、脱水の方法をみていきましょう。

 

麻(ヘンプ)を脱水する

ポタポタ水がしたたるくらいでOK

脱水は軽めに、を心がけましょう。

洗い上がりのシワは、脱水が原因であることがほとんどです。

麻の繊維は強固なため、一度折れると元に戻りにくい性質があります。

脱水時に強く絞ると、そのままシワとなって残ってしまいます。

しかも乾くとそのシワがより鮮明に目立つため、「せっかく洗ったのに、なんだかシワシワ」ということになりかねません。

水分の重みを感じる状態で干せば、その重みでシワが伸び、シワ防止対策になります。

脱水はとにかく軽く、がポイントです。

それでは、手洗いと洗濯機のそれぞれの脱水方法をみていきましょう。

 

手洗い後の脱水

すすぎおわったら、洗面器の水を捨てて、上からそっと押します。しぼらずに、軽く押すていどで。

もしくは手洗いの場合でも、脱水は洗濯機で1分ほどすると、ラクチンです。

洗濯機での脱水

ネットに入れたまま、いちばん軽い脱水モードで。

「ドライモード」や「手洗いモード」のままでもかまいませんが、1〜2分ていどに済ませられると理想的です。

 

以上、脱水の方法をみてきました。

手洗いでも、洗濯機でも、脱水はできるかぎり軽めにしましょう。

では次に、干し方をご紹介します。

 

麻(ヘンプ)を干す

直射日光を避けて、日陰干し

洗濯後に脱水した麻を、風通しのよい日陰で干しましょう。

麻は、直射日光に長時間あたると、色あせしてしまうことがあります。

日にあたっていた肩の部分だけ白っぽくなった、なんてことありませんか。

麻は通気性のよい素材ですので、風通しさえよければ太陽光にあてなくてもカラッと乾きます。

水分の重みで型くずれしないように、ハンガーは幅広のしっかりとしたもので。

日陰を選んで、できれば裏返して干して、美しい色合いを保ちましょう。

乾いたら、取り込んで、洗濯終了です。

ただ、アイロンをかけたい場合は、乾ききる前にかけるとシワが伸びやすくなります。

次に、アイロンのかけ方をご紹介します。

麻(ヘンプ)にアイロンをかける場合

iron

洗いざらしの麻が好きなら、普段はアイロンをかける必要はありません。

でも、どうしてもシワが気になる場合は、アイロンをかけてピシッとしたハリをとりもどしましょう。

麻にアイロンをかけるポイントは3つあります。

半乾きのときか、霧吹きをかけて

麻は完全に乾いてしまうと、シワが定着してしまい、アイロンをかけてもシワが伸びにくい生地です。

ですから、洗濯後の半乾きのときか、乾燥後なら霧吹きをかけながら湿った状態で、アイロンをかけます。

高温で

麻は丈夫な素材ですから、温度は高めでOKです。

お手持ちのアイロンに、麻対応の温度設定がある場合は、それに従ってください。

当て布をして

アイロンをかけることによって、テカリが出たり、色落ちしたりする可能性があります。

色の濃い服の場合はとくに、当て布をしてアイロンをかけましょう。

 

以上、アイロンのかけ方をみてきました。

少し湿った状態の麻を、高温で、当て布をしてアイロンをかけましょう。

では次に、保管の仕方をご紹介します。

 

麻(ヘンプ)の保管方法

closetシワを避けて、美しい状態を保つために、以下の2点に気をつけましょう。

小さくたたまない

麻を保管する際は、小さくたたまないことがポイントです。

麻はシワになりやすい素材。

折る回数が増えるとその分、シワが増えます。

また折れた部分に圧力がかかると、もどりにくくなります。

小さくたたみすぎず、つめこみすぎず、しまいましょう。

クローゼットにかける場合は、幅広のハンガーを使い、前後の服との空間に余裕を持たせてください。

陽のあたらない場所に保管する

洗い終わった麻は、太陽の光を避けて、クローゼットやチェストにしまいましょう。

陽にあたると、色あせやキバミの原因になります。

ハンガーのラインで色が変わってしまった、なんてならないように。

カーテン越しでも紫外線は入ってきますので、注意が必要です。

曇りの日でもお肌の紫外線対策をするように、麻の色を美しく保つためには、紫外線の影響を極力避けてください。

室内であっても、陽の当たらない場所を選んで保管しましょう。

 

麻(ヘンプ)を家で洗って、気軽に着る

麻を洗うためのポイントをご紹介しました。

洗濯機でも洗えますし、あんがいカンタンだとお感じいただけましたか?

一日着てシワになった麻も、洗うことでシワが伸びて、さわやかに。

洗い立ての気持ちいい麻を、日々満喫しましょう。

上記のほかに、麻には縮みやすいという特性もあります。

洗濯による縮み率は通常5〜10%といわれています。

麻の服をお買い求めの際に確認してみるとよいでしょう。

忠兵衛の麻は染織時に水をなんども通し、縮み率3%以内としていますので、気になるほどではないと思います。

ぜひ軽やかに、毎日の暮らしに麻をお楽しみくださいませ。