キナリ色のヘンプ
数年前まで、注文すれば織ってもらえたヘンプ100%キナリ生地。
独特の黄味がかった生地だ。
ヘンプが大地の養分を吸いながら育っていく間、
風に吹かれて茎が曲がり、そこにテンションがかかる。
するとそのテンションがかかった部分の繊維が、茶色に近い色になる。
ヘンプの繊維は黄金色といわれる、美しい黄味がかった色だが
不定期に少しだけ、濃い茶色が混ざる。
その繊維をそのまま糸にして織り上げると
なんとも味わいのある黄味のムラが楽しめる生地になる。
それがヘンプ100%生地、キナリだ。
貴重なキナリヘンプ100%
天然のままの色が人気なキナリ生地。
ところが、いま、キナリ生地はとても貴重になっている。
いまヘンプ生地をつくる主流は、晒(さら)した糸を使う。
精錬させた真っ白な糸だ。
この糸を使うと、純白の生地が織り上がる。
晒す前の、キナリの糸も、あるにはある。
ところが、機械にかけるには〝糸質が悪い〟と評価される。
ヘンプは繊維が強固なため、糸にした際にも、ゴワつきやケバ立ちが残る。
糸が均一ではないのである。
これが頻繁に機械が止まってしまう要因となる。
だから機屋(はたや)さんは、キナリ糸の使用を敬遠する。
キナリ生地が生産できない。
あえてキナリ糸を使うと晒し糸より何倍も手間がかかる。
こうして、キナリヘンプは貴重な生地となっている。
なの
ヘンプの個性を楽しむキナリをいまこそ
あまりにも貴重となっているため
いま忠兵衛ではキナリ生地の生産を見合わせている。
在庫は残りわずかだ。
新たなルートがないか、意気揚々と捜索中だ。
新しい生地の紹介がきっと紹介できる日がくると、強く願っている。
天然のままの色、個性が強く、一筋縄ではいかない生地。
キナリヘンプで、ヘンプの存在をたっぷり感じてみてほしい。