忠兵衛のキナリは2色あります。
その話を進める前に。
そもそも「キナリ」とは、色の名前のことではなかったのをご存知ですか。
漢字で書くと「生成り」。
本来は色の名前ではなく、漂白や染色をしていない、布地や糸、または原料となる農作物そのものを指していました。
それがだんだんと、漂白や染色をしていない素材そのものの色、として使われるようになったのです。
フランス語や英語でいうと、「エクリュ(ecru)」。
天然志向の人々の間で人気のカラーとなっています。
さて、ヘンプのキナリですが、原料そのもの、植物としての大麻そのものなので、色合いに幅があります。
産地や土壌、収穫の時期によって、色合いが異なります。
また、自然そのものなので、植物の破片がまざっていたり、ささくれだっていたり。
よく見ると、1本の糸の中でも色がまばらだったり、触れてみると、太さも均一ではなかったりします。
この糸で生地をつくるのは簡単ではありません。
すぐに切れたり、からまったり。
熟練した職人技が必要となります。
織り進むには時間がかかります。
忠兵衛のヘンプ生地は、日本国内の職人さんたちの技によって、ていねいに織り上げられています。
織りあがったキナリの生地は、色味や質感にばらつきがあります。
まったく同じものは、ありません。
そこがキナリの味。
素敵なところ。
自然そのものの、唯一無二の野生の生地です。
さて。
話は戻ります。
忠兵衛のキナリは2色あります。
実は、大麻の種類で、黒っぽい繊維のものがあるのです。
もともとの色が、黒みがかっている。
通称「ブラックヘンプ」と呼ばれています。
その繊維を使って織りあげた生地は、染色したわけではないのに、ほんのりグレイッシュ。
キナリなのに、色がある。
それとは別に、ブラックヘンプを使わない、いわゆるキナリ色の生地もつくっています。
黄みがかった、やさしい色です。
この2色のキナリを、忠兵衛ではご用意しています。
あなたはどちらのキナリがお好きですか。
ぜひ、目で見て、肌で感じてください。