睦月の色 ヘンプ100%ショール『やしゃぶし』
春を待つ、闇の光。
あなたもきっと見たことがある「やしゃぶし」
漢字で書くと、「夜叉五倍子」。
果実の表面が凸凹していて、鬼を連想させるから「夜叉(やしゃ)」。
五倍子(ごばいし)の代用となるために、五倍子の字を当てて「ぶし」。
「やしゃぶし」という名を、聞いたことがある人は少ないかもしれません。
でも、見たことがある人は大勢いるはず。
「やしゃぶし」は、本州、四国、九州と、広い範囲に見られる落葉性小高木です。
ふつうの木が育たないようなやせ地でもよく育つため、林道沿いや土砂崩れの法面工事などでよく植えられています。
秋から冬にかけて、枝先に松笠状の実がなります。
足もとにころころと転がる楕円形の松笠状の小さな実、見覚えありませんか。
「やしゃぶし」は、わたしたちの暮らしに馴染みの深い植物なのです。
江戸から続く、「黒」
古来より染められた染料でしたが、とくに江戸時代ごろに「五倍子」に代わる黒染めの材料として使われるようになりました。
「五倍子」が紫味がかった黒色になるのに比べて、「やしゃぶし」は緑味がかった黒になります。
殺菌作用があることから、乾燥させた球果の煎液で火傷や凍傷の患部を洗い、皮膚の炎症を抑える薬として使われてきました。
また、歯を黒く染めるお歯黒にも用いられました。
「やしゃぶし」は、古くからわたしたちを助けてくれていた頼もしい植物なのです。
春を予感させる、グレー。
「ヘンプ100%ショール」×「やしゃぶし」。
生まれた色は、深みのあるグレー。
春を待つ闇に、ふんわりと光が射したような。
大地の奥から、天を目指したような。
心地よい眠りの中で、きらめきを確信した色です。
顔まわりにまとえば、対比によって肌色の透明感が増します。
モノトーンにコーディネートすれば、気高さが香ります。
明るい服と合わせれば、シックな印象がプラスされます。
春を待つ、いま。
新しいあなたに寄り添う、心強い一枚になるでしょう。
和暦 睦月朔日
2月10日発売
ヘンプ100%ショール
折々の色<睦月・やしゃぶし染め>
¥19,800