コラム

ヘンプを知る。麻のメリット、デメリット。

By 2021年3月10日No Comments

はるか太古から私たちの暮らしの中にあるヘンプ麻布。
愛され続けるのはなぜ?
天然繊維ならではの特徴を長所とみるか短所とみるか?
ヘンプ素材の個性を知って、麻をもっと楽しみましょう。

【ヘンプ麻のメリット】

1.軽やかなシャリ感、清潔感。

麻の特徴としてまず挙げられるのは、肌触りのよさ。
サラッとした感触はシャリ感と呼ばれ、高温多湿の日本の夏にうってつけです。
この肌触りのよさは、麻の繊維が適度に硬いために生まれます。
ハリのある糸で織られ、糸と糸の間に微細な遊びがある。
肌にベタつかず、見た目も感触も軽やか。
つかず離れず身体により添い、清潔感に包まれます。

2.心地よさが続く。

すーっと汗を吸い取り、さーっと外に逃します。
麻の吸水性は綿の約4倍、シルクの約10倍。
それは麻の繊維にとても細かい穴が無数にあるから。
まるで呼吸をするように通りがいい。
速乾性も高く、カビや雑菌の繁殖もガード。
サラサラとした心地よさが続きます。

3. 使うほどに、やわらかくなる。

着る回数が増えるたびに、洗い重ねるごとに、どんどんやわらかくなります。
ハリのある繊維の丈夫さはそのままに、ちょうどよくクタッとして、気高くしなやかに。
日本伝統の麻織物の中には、そのやわらかさを生むために、仕上げに木槌で生地をたたく行程があるほど。
やわらかくなった麻は、独特のコナレ感が魅力的です。

4.重ねるとあたたかい。冬にも麻を。

麻=夏のもの、ではありません。
繊維に細かい穴がたくさんある麻は、重ね着することで厚い空気層を生みます。
空気層は熱を保つ。
つまり、あたたかい。
その特性をいかして、冬用に織られた麻の生地もあります。
糸が重なるように織ったり、ウールと混ぜて織ったり。
日本では着物の常識から、麻は夏物というイメージが定着していますが、ヨーロッパでは麻は季節を問わず愛用されています。
麻のぬくもりを感じてください。

5.エコロジカル素材。グリーンな暮らしへ。

麻を着る、それは地球への貢献につながります。
麻は太古から世界中で利用され、環境に負荷をかけることなく、人の暮らしのいとなみを支えてきました。
麻がいかされるのは、衣料としてだけではありません。
種子は良質なタンパク源として食用に。
種子油はバイオプラスティック・バイオディーゼルとして。
オガラと呼ばれる茎の部分は建材に。
素材まるごと活用できる麻は、グリーンライフの象徴。
地球の美しい巡りの中で、私たちが美しく生きてゆくために、麻を選んでみませんか。

【ヘンプ麻のデメリット】

1.シワ

新品のものほど、シワになりやすくなります。
麻の特徴である繊維のハリが、シワの原因。
気になる場合は、お洗濯のとき水が垂れるくらいに濡れている状態で陰干しすることがオススメです。
水の重さでシワが和らぎます。
ピシッとした麻がお好きな方はアイロンを。
洗濯後完全に乾ききる前か、霧吹きで濡らして、アイロンをかけましょう。
もうひとつの提案は、シワを風合いとして楽しむこと。
着てゆくうちに育ってゆく、クタっとした布の味わい。
洗いざらしのラフな表情も麻の醍醐味のひとつです。

2.ネップ

生地の表面にプツッと出ている繊維の固まり、ネップ。
太い線状のスジがあることもあります。
麻は素材の特性上、均一な糸を紡ぐことがとても困難。
表面にネップやスジが出てきてしまいます。
人工的でないナチュラル感ともいえますが、天然繊維ならではの粗さともいえます。
忠兵衛では目立つところには出てこないように配慮していますが、完璧なコントロールはできていません。
ネップやスジも生地がやわらかくなると多少気にならなくなります。
長い目と広い心で麻を慈しんでいただけたらうれしいです。

 

麻という植物から繊維をもらい、布を織り、衣に仕立てる。
大地から続くいのちのバトンを身にまとう。
メリット、デメリットを知った上で、天然繊維ならではの特徴を楽しんでいただけたらうれしいです。