
https://www.lancasterfarming.com/farming-news/hemp/fiber-and-grain-focus-of-lancaster-county-hemp-field-days/article_81cf59fe-3c52-11ee-a644-5b2a4b8743a0.html
数年前まで、「ヘンプ」という言葉は、どこか誤解と混乱をまとっていました。
けれど今、世界は静かに、しかし確実にこの植物へと視線を戻し始めています。
それは流行でしょうか。
それとも、一時的なサステナブル・ブームでしょうか。
私はそうは思いません。
これは“回帰”です。
効率や大量生産を追いかけてきた時代から、
土に根ざす素材へと戻る動きなのです。
■ データが示す、静かな変化
ヨーロッパでは、産業用ヘンプの栽培面積はこの10年で拡大傾向にあります。
統計をまとめている European Industrial Hemp Association によれば、EU域内のヘンプ栽培は2010年代後半にかけて増加し、繊維用途への再注目が進んでいます。
アメリカでも、2018年の Agriculture Improvement Act of 2018 により産業用ヘンプが合法化され、一時はCBD市場が急拡大しました。
その熱狂が落ち着いた今、改めて「繊維」としての価値が再評価されています。
なぜでしょうか。
答えは、気候変動です。
■ 気候の時代に、作物を選ぶということ
ヘンプは比較的成長が早く、
農薬使用量が少なくて済む場合が多い作物です。
さらに、根が深く張ることで土壌をほぐし、
輪作体系の中で土を休ませる役割を担うこともあります。
もちろん、「魔法の植物」ではありません。
どんな作物も、栽培方法次第で環境負荷は変わります。
けれど確かなのは、
ヘンプが“未来に残したい農業”の候補に挙がっているという事実です。
世界がヘンプを選び始めた理由は、
環境意識の高さをアピールするためではありません。
もっと切実です。
「このままでは続かない」という現実に、
素材レベルで向き合い始めたからです。
■ 服は、遠い畑とつながっている
私たちは、服を“デザイン”で選びます。
色や形や、着心地で。
けれど本当は、その一着は遠い畑から始まっています。
どんな土で育ち、
どんな水を使い、
どんな手を経て布になったのか。
それを知ることは、
消費を減らすこと以上に、
選択の質を変えることかもしれません。
ヘンプが再び注目されているのは、
地味だからです。
派手な化学繊維のような即効性はない。
けれど、土に還り、長く着られ、時間とともにやわらかくなる。
時代は今、
“速さ”よりも“持続”を求め始めています。
■ では、私たちはどう選ぶのか
ヘンプを着ることは、
環境活動ではありません。
それは、
未来に対して静かに意思表示をすること。
世界が再びヘンプを見つめ始めた今、
あなたは、どんな素材を選びますか。
次回は、ヨーロッパで進む
「ヘンプ繊維革命」の現場を見ていきます。