— 贅沢の再定義 —

少し前まで、
ラグジュアリーといえば、
光沢のある素材、
完璧なシルエット、
新品のまま完成された服。
そんなイメージが主流でした。
でも今、ヨーロッパを中心に、
高級市場の空気が静かに変わり始めています。
キーワードは、
自然素材への回帰。
それも「エコだから仕方なく」ではなく、
もっと本質的な理由からです。
ラグジュアリーは、疲れていた
大量生産が加速したここ20年ほど、
高級ブランドでさえ、
・年に何回もコレクションを出し
・トレンドを追い
・売れ筋を量産する
というサイクルに巻き込まれてきました。
結果、何が起きたか。
服は増え、
価値は薄まり、
“特別感”は消耗していきました。
ラグジュアリー自身が、
自分の居場所を見失っていたのです。
そんな中で再び見直されているのが、
・経年変化する素材
・職人性のある工程
・時間のかかる服づくり
つまり、
すぐ完成しないもの。
ヘンプが持っている「高級素材の条件」
ヘンプは、
一見するととても地味です。
シルクのような艶もない。
カシミヤのような即効性のある柔らかさもない。
でも、ラグジュアリーの視点で見ると、
とても重要な条件を備えています。
それは、
・耐久性が高い
・着るほどに風合いが増す
・大量生産に向かない
・個体差が出やすい
つまり、
時間と個性を内包している素材。
高級とは、
希少であること以上に、
「同じでない」こと。
ヘンプは、
洗い方や着方で表情が変わります。
誰かとまったく同じにはならない。
この“揺らぎ”こそ、
いま再評価されている価値です。
贅沢とは、「新しさ」ではなく「関係性」

https://allianceflaxlinenhemp.eu/en/european-flax-linen-hemp-news/news-archive/linen-catwalk
ラグジュアリー市場で起きている変化は、
素材の話にとどまりません。
もっと深いところで、
「贅沢とは何か」
が問い直されています。
新作を次々買うこと?
クローゼットを埋めること?
いま多くの人が、
そこに疲れ始めています。
代わりに浮かび上がってきたのは、
・長く着ている一着
・思い出の染み込んだ服
・身体になじんだシャツ
そういう存在。
つまり、
関係性の深さ。
ヘンプは、
この価値観ととても相性がいい。
最初は少し硬くても、
時間とともにやわらぎ、
身体の癖を覚えていく。
それはまるで、
使い込んだ革靴や、
手に馴染んだ木の道具のようです。
「壊れない」ことは、実はとても贅沢
現代の服は、
あまりにも簡単に傷みます。
数回の洗濯で型崩れし、
ワンシーズンで手放される。
でもヘンプは、
繊維が強く、摩耗にも比較的強い。
これは派手ではありません。
けれど、
長く着られるという事実は、
とても贅沢です。
すぐに買い替えなくていい。
繕ったり、手直ししたりして、付き合い続けられる。
ラグジュアリーがヘンプに目を向けているのは、
環境配慮のためだけではありません。
服にも美しく年を重ねることを
求め始めているからです。
忠兵衛が見ている「贅沢」も、そこにある
忠兵衛は、
高級ブランドではありません。
でも、目指している方向は
とても近いところにあります。
それは、
一時的な満足ではなく、
長く続く関係。
ヘンプ100%を選んでいるのも、
そのためです。
混ぜれば、
もっと売りやすくなるかもしれない。
でも混ぜないことで残る、
・時間とともに育つ感触
・身体に刻まれる記憶
・着続けることで生まれる愛着
それらのほうが、
ずっと価値があると信じています。
贅沢は、静かになっていく

いま世界で起きているのは、
声の大きなラグジュアリーから、
静かなラグジュアリーへの移行です。
目立つことより、
続くこと。
新しさより、
深さ。
ヘンプは、
その変化を象徴する素材のひとつ。
派手ではないけれど、
確かな手応えがあります。