第8回|時をまとう 洗うほどに育つ布 ヘンプの衣は、買ったときが「完成形」ではありません。 洗うたびにやわらかくなり、着るほどに身体になじみ、自分だけの一着へと育っていきます。 それは、衣と自分との関係性が、時間をかけて深まっていくということです。 少しずつ色が変わり、風合いが増していく様子は、まるで記憶を織り込んでいくよう。 日々の暮らしとともに、衣が呼吸し、表情を変え、熟成していく。 それは消費ではなく、「共に過ごす」という関係性。 衣が暮らしの一部となっていくのです。 だからこそ、大切に着たくなる。 愛着が深まるたびに、「選んでよかった」と心から思える。 そんな衣と出会えること自体が、豊かさなのだと思います。 ヘンプの衣は、私たちに「時間とともにあることの美しさ」を教えてくれる存在なのです。