コラム

洗うたびに、なじむということ

By 2026年2月4日No Comments

最初の一枚を、 洗濯機に入れるとき、 少しだけ、ためらう方がいます。

「これで、だいじょうぶだろうか」

その感覚は、 とても自然だと思います。

ヘンプの服は、 新品のとき、 どこかよそよそしい顔をしています。

やわらかさを誇るでもなく、 愛想よく迎えるでもなく。

ただ、 そこに在る。


洗って、干して、 また着る。

その繰り返しの中で、 ある日ふと、 気づく瞬間があります。

「あ、今日は、前より楽だ」

生地が、 身体の動きを覚えたように、 余計なところで、 引っかからなくなる。

ヘンプは、 一度で答えを出そうとしません。

時間をかけて、 関係をつくる素材です。


洗うたびに、 少しずつ、 服が変わっていく。

それは、 劣化というより、 調整に近い変化です。

自分の生活のリズムに、 呼吸の速さに、 静かに合わせてくれる。

気がつけば、 「扱っている」という感覚より、 「一緒に暮らしている」 そんな距離になります。


新品の完成度より、 時間の中で育つ安心感。

洗うたびに、 なじんでいく。

それは、 服と人との関係が、 少しずつ、 ほどけていく過程なのかもしれません。