
最初の一枚を、 洗濯機に入れるとき、 少しだけ、ためらう方がいます。
「これで、だいじょうぶだろうか」
その感覚は、 とても自然だと思います。
ヘンプの服は、 新品のとき、 どこかよそよそしい顔をしています。
やわらかさを誇るでもなく、 愛想よく迎えるでもなく。
ただ、 そこに在る。
洗って、干して、 また着る。
その繰り返しの中で、 ある日ふと、 気づく瞬間があります。
「あ、今日は、前より楽だ」
生地が、 身体の動きを覚えたように、 余計なところで、 引っかからなくなる。
ヘンプは、 一度で答えを出そうとしません。
時間をかけて、 関係をつくる素材です。
洗うたびに、 少しずつ、 服が変わっていく。
それは、 劣化というより、 調整に近い変化です。
自分の生活のリズムに、 呼吸の速さに、 静かに合わせてくれる。
気がつけば、 「扱っている」という感覚より、 「一緒に暮らしている」 そんな距離になります。
新品の完成度より、 時間の中で育つ安心感。
洗うたびに、 なじんでいく。
それは、 服と人との関係が、 少しずつ、 ほどけていく過程なのかもしれません。