コラムニュース

草をまとう民族 8-洗うほどに育つ布

By 2025年8月16日No Comments

 第8回|時をまとう

洗うほどに育つ布

ヘンプの衣は、買ったときが「完成形」ではありません。

洗うたびにやわらかくなり、着るほどに身体になじみ、自分だけの一着へと育っていきます。

それは、衣と自分との関係性が、時間をかけて深まっていくということです。

少しずつ色が変わり、風合いが増していく様子は、まるで記憶を織り込んでいくよう。

日々の暮らしとともに、衣が呼吸し、表情を変え、熟成していく。

それは消費ではなく、「共に過ごす」という関係性。

衣が暮らしの一部となっていくのです。

だからこそ、大切に着たくなる。

愛着が深まるたびに、「選んでよかった」と心から思える。

そんな衣と出会えること自体が、豊かさなのだと思います。

ヘンプの衣は、私たちに「時間とともにあることの美しさ」を教えてくれる存在なのです。