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草をまとう民族 5-ヘンプという植物が布になる

By 2025年8月5日No Comments

第5回|人の手と技を経て

ヘンプという植物が布になる

麻は、育てるだけでは服にはなりません。

収穫した茎を乾かし、繊維を剥がし、何度もたたき、裂いて、撚って、ようやく糸になります。

その糸を、さらに時間をかけて織り上げていく。

すべての工程に、根気と知恵と熟練の手しごとが込められています。

その過程を知ると、一枚の布がとても尊く見えてきます。

いまでは工場で、昔よりは効率よく生産できます。

しかし、ヘンプは麻の中でも工業生産がしにくいと言われ、限られたこだわりの職人だけが担う作業となっています。

ヘンプ100%の布が市場にあまり出回っていないのは、そのためです。

忠兵衛はその布を、顔のみえる人々の力を借りて、日本で衣に仕立てています。

大量に効率重視で生産される衣服とは違い、人の時間と感性が、何層にも折り重なっているのです。

手しごとの跡が残ることは、欠点ではなく、むしろ“息づかい”としての魅力。

布を見つめ、手に触れたとき、そこに関わってくれた多くの人たちへ、自然と感謝がこみあげてきます。

「服」とは、人と自然をつなぐ、静かな物語の結晶なのです。