ヘンプをまとう意味とは。
自然とのつながりを思い出す暮らし|自然に、還る。第11話

私たちは、ときどき忘れてしまいます。
自分ひとりで生きているような気がしてしまうことがあります。
けれど、本当はそうではありません。
空気を吸い、
水を飲み、
太陽の光を浴び、
植物が育てた恵みをいただいて生きています。
私たちの命は、自然と切り離すことのできない存在です。
服も、そのひとつ。
植物から生まれた繊維は、
土の記憶をまとい、
風を受けた時間をまとい、
太陽の光を浴びた季節をまとっています。
その一枚を身につけることは、
自然を所有することではなく、
自然とのつながりを思い出すことなのだと思います。
ヘンプには、特別な力があると言いたいわけではありません。
ただ、植物として生まれ、植物として育ち、
その命が繊維となって、私たちの日常へ受け継がれている。
そのことに、私は静かな美しさを感じます。
便利な時代だからこそ、
自然を遠くに感じてしまうことがあります。
でも、自然は決して遠くにはありません。
私たちが呼吸をするたびに。
季節の風を感じるたびに。
そして、植物から生まれた服に袖を通すたびに、
自然とのつながりは、そっとそこにあります。
自然に還るとは、
昔の暮らしへ戻ることではありません。
自然とのつながりを思い出しながら、
今日という日を、丁寧に生きること。
その積み重ねが、
きっと未来の暮らしにつながっていくのだと思います。