ヘンプは大麻。
大麻はマリファナ。
でも、ヘンプはマリファナではありません。
「はて?」
ややこしい言葉の事情を紐解いて、ヘンプとマリファナの違いをすっきり理解しましょう。
ヘンプとマリファナは同じ植物
ヘンプもマリファナも、植物の種は同じです。
アサ科アサ属の植物で、英語では「カンナビス」、日本語では「大麻」。
「大麻」という大きなくくりの中に、「ヘンプ」と「マリファナ」が属しています。
同じ種の中で、違いがあるのです。
では、その違いをみていきましょう。
大麻には3つの品種がある
大麻には「薬用型」「中間型」「繊維型」という、3つの品種があります。
この違いは、大麻に含まれる、THC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)という2つの成分の割合で決まります。
THCは強い陶酔作用があり、摂取すると、いわゆる「ハイ」な状態になります。
CBDは陶酔作用はほとんどなく、摂取すると、「リラックス」した状態になると言われています。
大麻の3つ品種の、THCとCBDの割合は下記のとおりです。
- 薬用型
THCが2〜25%含まれ、CBDをあまり含まない。
- 中間型
THCとCBDが同じくらい含まれる。
作用としてはTHCに支配される。
- 繊維型
CBDがTHCよりも多く含まれ、THCが0.25%未満。
「大麻=ハイ」と思いがちですが、大麻の中にはハイにならない繊維型という品種もあり、それがヘンプと呼ばれています。
マリファナとヘンプの違いは、ハイになるか、ならないか
マリファナはハイになる大麻であり、ヘンプはハイにならない大麻であると区別されることが多いです。
大麻の品種のうち、薬用型、中間型がマリファナ、繊維型の品種がヘンプと捉えられます。
ヘンプは陶酔作用成分をほとんど含まない
ヘンプはハイにならない大麻として、マリファナと区別するために生まれた呼び名と言えます。
ヨーロッパなどでは、THCが0.3%未満の品種を「産業用ヘンプ」と呼び、「農作物」として栽培される国が増えています。
THCをほとんど含まないため、ハイになることを目的として用いられることはありません。
薬物として乱用される心配や危険性がなく、繊維や種子を活用する植物がヘンプです。
マリファナは陶酔作用成分を多く含む
マリファナは大麻の一般的な俗語です。
THCを多く含み、ハイになるために喫煙される大麻を指します。
依存症の危険があり、多くの国で栽培が規制されています。
ただ、近年ではTHCを医療用に用いることの研究がすすんでおり、一概に「悪」というレッテルを張ることを懸念する声もあがっています。
日本では、マリファナもヘンプも規制対象
日本では、法律上、マリファナとヘンプの区別がありません。
すべての「大麻」が規制対象です。
日本で大麻を栽培するには、都道府県長から認可を受ける必要があります。
たとえ産業用ヘンプであっても、認可を受ける難易度は高く、日本の大麻文化は下火となっているのが現状です。
欧米では、ヘンプは農作物
日本では厳しい規制がひかれる一方、欧米では法整備が進み、農作物としてのヘンプが、様々な製品として開発されています。
とくに注目を集めているのは、ヘンプの成分である「CBD」オイル。
様々な種類が輸入され、また、日本で開発されている商品もあります。
オシャレでウェルネスな新しい風が吹いています。
古くて、新しい、ヘンプという大麻
ヘンプとマリファナの違い、おわかりいただけましたか。
大麻は、日本人にとって、歴史的にも文化的にも大切な植物です。
戦後、すっかり悪者のイメージが植えつけられましたが、最近ではオシャレで有用な植物として、新しいジョブを与えられています。
人間の思惑とは別のところで、常に私たちの暮らしに寄り添い、私たちを支えてくれている植物、大麻。
感謝とともに、きょうもヘンプを着ています。