ハッとするほど、生命力を感じる。
そんな緑が着たい。
エメラルドにフレッシュさを足したような。
ヒスイのいちばん濃いところだけを集めたような。
できあがったのは、森をいのちで唄うような、はじける新緑の色。
染色で緑を出すのは、難しいとされます。
忠兵衛の緑は、「桑の葉」を主に、ブレンドした天然染料を使用。
そして色の彩度を保ち、色落ちを防ぐために、化学染料も併せて使う手法を選びました。
桑。といえばお蚕さん。お蚕さんといえば絹。
やがて絹になる植物から色をもらって、麻を染める。
絹×麻といえば、古式ゆかしい日本の美であり、神聖。
その色をまとえば、みずみずしく、凛とした心持ちになります。
緑の宝石「エメラルド」はクレオパトラを虜にしました。
エメラルドを砕いた粉末で、メイクもしていたと、いわれます。
世界最古のものといわれる、加工された「ヒスイ」が産出された、新潟県の糸魚川には、奴奈川(ぬながわ)姫の伝説があります。
古来より、「緑色の宝石」と「姫」には、深い関係があるようです。
ちなみに。
古代より日本国内で愛でられた「ヒスイ」ですが、奈良時代以降には急激にその利用が衰退し、日本の歴史から姿を消しました。
そのため、それ以後は、ヒスイの加工文化のみならず、日本国内で産出することも忘却されていたそうです。
20世紀に入ってから、国内で産出されることが発見されるまでは、日本の遺跡から出土するヒスイの勾玉などは、海外(ユーラシア大陸)から持ち込まれたものだと考えていました。
そして研究がすすみ、ヒスイは、日本のような沈み込む地質でのみできる「日本ならでは」の宝石であることがわかったそうです。
〝忘れられた「日本らしさ」〟と聞くと、大麻の歴史を思い出します。
美しいものを、美しいまま、伝えていきたいと感じます。
同時に、ほんとうに美しいものは、たとえ忘れ去られても、わたしたちと共にあり、必要なときに、陽のもとにあらわれるんだと、安心します。
美しい地球とともに、日々を美しく営むために。
地球の緑に包まれて、地球の生命力に抱かれたい。